世界で働く 日本人職員
©Sayaka Usui
インド洋に向かって“角”のように突き出たアフリカ大陸東部の「アフリカの角」。
ジブチはその付け根に位置する人口約百万人弱の国です。
アフリカ北東部の国々のなかでは比較的政情が安定しており、 ソマリアやエチオピアなど周辺国からの難民を受け入れています。 地球上で最も暑い地のひとつといわれるジブチ。6~9月には50℃を超えることも少なくありません。
気候変動の影響を受けやすく、こうした毎夏の酷暑に加え、洪水や砂嵐、干ばつといった自然災害の脅威にさらされています。
そんなジブチで、より困難な状況にある子どもたちを最優先にした教育支援に取り組む薄井さやかの一日をご紹介します。
ユニセフは、貧困や出生証明書の不備、難民の家庭出身であることなど様々な理由で小学校に入学できなかった子どもたちに、小学校のカリキュラムを3年間に凝縮した基礎学習プログラム、その名も「読む・書く・数える教室」を国内5カ所にある非公式教育センターで提供しています。
先日、センターの卒業生から話を聞く機会がありましたが、プログラム修了後に公立校へ編入してクラスで一番の成績を収めていたり、職業訓練校に進み専門技術の習得に励んでいたり、それぞれの活躍ぶりを報告してくれ、「このプログラムの修了生であることを誇りにしている」と話してくれました。
小学校入学という基礎教育のスタートラインでは不遇な状況にあった子どもたちが、非公式教育センターでの学びを通して将来の可能性を広げ、自尊心や自立心も育まれている姿に接し、「より困難な状況にある子どもたちを最優先に」というユニセフの教育支援の成果を再確認しました。
私は大学時代に『世界がもし100人の村だったら』という本に出会い、「世界の人口を100人にすると、大学へ進学するのはたった1人」という現実に強い衝撃を受けました。両親が教員という家庭に育ち、それまでは教育は当然の権利と考えていました。
教育支援における目標は、まず読み書き計算など基礎の習得。ですが、ジブチはじめアフリカやアジアでは学校に通えない子どもたちがいまだ多くいます。そして学校生活は、学習だけでなく、問題解決能力やチームワーク、共感力など社会生活を送る上で大切な「ライフスキル」を習得する機会でもあります。
教育は、子どもの権利条約にも明記された普遍の権利であり、一人ひとりの未来への大切な投資です。ユニセフだからこそできる開発援助と人道支援の両面において、これからも教育専門官として貢献していきたいと考えています。
まるで日本の焼き魚
ジブチはアデン湾で捕れた魚のグリルがおいしいです。日本の焼き魚のようで、大根おろしとポン酢、白飯が恋しくなります。教育チームの同僚たちとランチミーティングをすることも。窯焼クレープとトマトソースがついてきます。
※データは主に外務省HP、『世界子供白書2021』による
※地図は参考のために記載したもので、国境の法的地位について何らかの立場を示すものではありません
東京都出身。英国にて修士号(教育と開発専攻)取得後、パキスタン北西辺境州で震災後の教育支援に携わる。ユネスコ・イスラマバード事務所、在ウズベキスタン日本大使館を経て2011年にユニセフ職員となる。リベリア、コンゴ民主共和国、ソマリア、ケニアの各事務所にて教育専門官として勤務。2020年11月より現職。