西アフリカ、ベナン共和国で発生した集中豪雨により河川が氾濫した日、小学校を出たところで水に阻まれ、立ち往生する少年。一連の災害で数百の学校が破壊され、推定18万人が家を失いました。ユニセフは、給水タンク、衛生用品、栄養治療食、消毒剤、教育キット等を提供するなどの人道支援活動を行いました。
©️︎︎UNICEF/UNI96737/Asselin
巻頭言
保湿クリームとして日本でも人気のシアバター。その多くは、西アフリカの国々でつくられています。
「雨が降らなくなったのは、1973年に起きた大干ばつの頃からですね」
2009年、ブルキナファソの街道沿いの村で出会った女性は、原料となる特産のシアの実が、以前ほどには採れなくなっていると語りました。
首都から車で10時間。はるか地平線までサハラ砂漠が広がる国内最北の街も、かつては緑に覆われていたそうです。この街で私たちは、砂漠化で放牧や農業をする土地を追われ、摂氏50度にもなる灼熱の金鉱で一日中働き続ける女の子に出会いました。家計を助けるため、10歳の彼女はごはんも食べられぬまま、汗と埃にまみれて働いていました。
当時から、気候変動が世界中で様々な問題を引き起こしていることは知られていましたが、子どもたちの日常や健康にこれほどまでに深刻な影響を与えていた現実は、この旅に同行していたテレビや新聞、雑誌をはじめとする報道機関を通じて、あらためて日本の皆さまに伝えられました。
「直し方のわからないものを、もうこれ以上壊すのはやめてください」。1992年の地球環境サミット(リオデジャネイロ)で当時12歳のセヴァン・スズキさんが訴えたスピーチは、世界のリーダーたちに大きな衝撃を与えました。そして現在は、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんに勇気づけられた多くの子どもや若者が、世界中でおとなによる行動を求め、自ら出来ることにも取り組み始めています。
2030年まで10年を切った今、ユニセフは、気候変動問題を「子どもたちの危機」として訴え、子どもや若者とともに、その克服のための取り組みに力を入れています。「特集」でその詳細をお伝えします。
春号では毎年、当協会の前年の国内事業のハイライトと「正味財産増減計算書」など収支報告書類のご案内をしております。今回はさらに、当協会専務理事早水研から皆さまへ、ご支援の御礼と今後の当協会の取り組みについてお伝えいたします。「活動報告 数字で見る日本ユニセフ協会の2021年活動ハイライト」のページをぜひご覧ください。
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2022.4.1
お知らせ
2022.4.1
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編集後記
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「UNは何の略語か知ってる?」。
30年前のボスニアで、突然、同僚から問われました。
「United NONSENSE。
国際連合じゃなくて、ナンセンス(たわごと)の連合だよ」
緊張状態が連続する現場の雰囲気を和らげるため、競い合うようにブラックジョークを言い合っていた私たちですが、実際、地元の方々は、深刻化する内戦に打つ手を持たない国連を、こんな風に見るようになっていました。
「戦場」がかつてないほどお茶の間や手の平の上のスマホの中に入り込んだ今年の春。世界中で、多くの方が国連に同じような思いを持たれてしまったのかもしれません。
それでも、そのボスニア人の同僚は、時に砲撃が迫るなか、スナイパーが潜む廃墟と化した街を走り回り、文字どおり献身的に、国連の一員として人道支援に奔走していました。
家族や友人の命をつなぎ、未来に続く道を途絶えさせないために。
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