culture
テーマ「人道支援」
「世界でもっとも残酷」と言われたシエラレオネ内戦。そのさなかに故郷と家族を失い、生きるために少年兵となった著者が、ユニセフに保護され、新たな人生を歩みだすまでを綴った自伝です。
当時12歳だった著者は、音楽とダンス好きの快活な少年でした。ある日、すぐ戻るつもりで「いってきます」も言わずに家を出たのが家族との永遠の別れになります。その直後、反乱軍が町を襲い─。
飢えと渇きと暴力がうずまく世界に投げ出された少年が生き延びるための唯一の手段は、兵士になること。銃を手に「殺すか殺されるか」の狭間で生き抜く姿が描かれます。
著者はユニセフに保護された後、周囲に支えられ、社会復帰を果たしますが、他方で、保護された後も軍隊で覚えた薬物から抜け出せない、身寄りがないといった理由で前線に戻ってしまう子どもがいることに、この問題の難しさを痛感します。
それでも、ぼくはいまだに人間の善良さを信じることができます、という、社会復帰後にユニセフ親善大使となった著者の言葉には、人類の明日への希望を見いだせます。マンスリーサポーターもお薦めの世界的ベストセラー。
「クリスも犠牲に……」19年前の8月の朝、同僚からそう告げられたのが、まるで昨日の事のように思い出されました。
国連が総力を挙げて、10年以上にわたる経済制裁と戦争で疲弊しきったイラクの復興に乗り出そうとしていた矢先、首都バグダッドの国連事務所を狙った自爆テロで、32歳という若さでユニセフの現地事務所を率いていたクリストファー・ビークマンはじめ、24名の尊い命が奪われました。本作の主人公=セルジオ・デメロ国連人権高等弁務官も、そのひとりです。
ボスニアやレバノンでの人道支援、カンボジア難民35万人の帰還支援、東ティモールの独立支援。デメロは、冷戦後の世界でようやく創設時に期待された役割を担えるようになった国連の活動に大きく貢献したひとりでした。
今も紛争があり、世界中で理不尽な暴力が振るわれ続けています。国連の存在意義を疑問視する声もあります。しかし、クリスやデメロの志を受け継いだ私たちの仲間は、今、この時間も、最前線の両側で、出来る限りの努力を続けています。最も必要としている子どもたちへ、命を未来へつなぐ支援を届けるために。