世界で働く 日本人職員
©Miou Nemoto
バルカン半島の東部にあるブルガリア共和国。国土の中央をバルカン山脈が横断、南西部にはロドピ山脈が走る美しい山の国です。 ヨーグルトを用いた食文化で有名ですが、バラやワインの産地としても高い評価を受けています。
1989年のベルリンの壁崩壊以降、民主化が進み、1990年に国名もブルガリア共和国となりました。 ブルガリアは今年2月のウクライナ危機以降、多くのウクライナからの避難民を受け入れています。 東京事務所からブルガリア事務所へ応援派遣され、子どもたちのために全力疾走する根本の一日をご紹介します。
今年2月のウクライナ危機以降、ブルガリアには約55万人の避難民が流入。うち9万人が今も留まり、EUによる一時的な保護を申請しています。私は今年5月より、ユニセフ東京事務所からブルガリア事務所へ応援派遣され緊急人道支援にあたっています。
ウクライナとブルガリアは言語系統が近く、親族・友人も多いといった背景から、避難民の数はウクライナに隣接するルーマニアの2・5倍にのぼります。うち半分が女性、約40%が18歳未満の子どもたちです。
国内には、避難民の支援拠点「ブルードット」が6つ設置されています。うちひとつは国際列車の到着する首都ソフィアの中央駅構内にあり、列車が到着するとスタッフがプラットフォームで乗客に声をかけ、支援が必要な避難民はいないか確かめます。
黒海沿岸のブルードットでは、ウクライナの地下防空壕内で出産した母親と生後2カ月の赤ちゃんに出会いました。20代前半の母親は涙を浮かべ、助からなかった同床の妊婦のことを語ってくれました。
避難民の中には、積極的にサポート・グループを作って互いに助け合う障がい児の母親や、グループで子どもたちに学習や遊びの場を提供している若者たちもいます。避難民の中からサッカーやバレエの指導経験者を見つけ、子どもたちに教えることもあります。ユニセフは、こうした避難民ボランティア・グループとブルガリアの地方自治体やNGOを繋ぎ、困難な状況下でも子どもが子どもらしく生きるサポートをしています。
また、ブルガリアにはシリア、アフガニスタンなどウクライナ以外の国からやってきた難民や少数民族ロマなど、他にも支援を必要とする子どもたちが多くいます。
ユニセフは、すべての子どもたちのニーズに耳を傾け、子どもを誰ひとり取り残さない緊急人道支援を続けています。
ブルガリアはやっぱりヨーグルト!!
(左)ブルガリアの伝統的な朝食であるヨーグルト入りドーナツ「メキスタ」
(右)ヨーグルト・スープ「タラトール」
※データは主に外務省 HP、『世界子供白書 2019』による。
※地図は参考のために記載したもので、国境の法的地位について何らかの立場を示すものではありません。
東京都出身。東京大学法学部卒業。米国シラキュース大学・マックスウェル・スクール大学院で公共行政管理学、国際関係論の両修士号取得。民間企業、日本ユニセフ協会を経て2004年にユニセフへ。東京、シエラレオネ、モザンビーク、パレスチナ各事務所を経て、2013年より東アジア・太平洋諸国地域事務所の地域緊急支援専門官。2016年10月より東京事務所副代表。2022年5月から、ウクライナ事務所へ応援派遣。