vol.275 2022 autumn

report

ウクライナ緊急人道支援活動報告

本誌読者の皆さまをはじめ、大変多くの日本の方々に支えられ、ユニセフはウクライナ国内外で支援を続けています。ウクライナと周辺国におけるユニセフの活動についてご報告いたします。

ウクライナの現状

約3000人の親子が温かい飲み物や応急処置などのサービスを受けたポーランドの「ブルードット」
© UNICEF/UN0649085/Korta

紛争激化からおよそ100日が経過した本年6月1日時点で、人道支援を特に必要としている子どもの数は、ウクライナ国内で300万人、難民を受け入れている国々で220万人以上にのぼっています。ウクライナの子どもの3人に2人が、住み慣れた自宅を離れ、避難生活を余儀なくされています。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告によれば、ウクライナ国内では毎日平均2人以上の子どもが死亡し、4人以上が負傷しています。そのほとんどが、人口密集地で爆発性の兵器が使用されたことによるものです。

また、そうした直接の被害から逃れることができた子どもたちも、避難先での家族の離散、虐待や性的搾取などの暴力、人身売買などのリスクにさらされながら日々を過ごしています。

※地図は参考のために記載したもので、国境の法的地位について何らかの立場を示すものではありません。

ユニセフの活動

ユニセフは、ウクライナ政府や人道支援団体などのパートナーと力を合わせ、約210万人に保健・医療物資を配布し、安全な水を届けました。また、61万人以上の子どもと親などの保護者に対して心理社会的支援を行い、約29万人の子どもに学用品を提供しています。

周辺国のモルドバ、ルーマニア、ポーランド、イタリア、ブルガリア、スロバキアでは、紛争から逃れて移動している家族向けに、国境周辺に支援物資の提供や心理社会ケアなどを行う拠点「ブルードット」を25カ所設置しました。

さらに、国境警備員を対象に人身売買防止のための研修を実施。ほかにも、難民の子どもたちが避難先の地元の学校に受け入れられるよう支援したり、ワクチンや医療品の調達、子どもたちの遊びと学習の拠点の設置といった支援も行っています。

ユニセフは、ウクライナと近隣諸国において、子どもたちに人道支援を届ける活動を続けていきます。引き続き、あたたかいご協力を心よりお願い申し上げます。