vol.275 2022 autumn

report

世界で活躍するユースたち
〜持続可能な未来へ、若者たちの声〜

ユニセフの企画に参加した世界の若者たち
©UNICEFTokyo/2021

昨年、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けたアクションを支援するイベントがオンライン開催されました。
ユニセフの企画に参加した若者たちの熱い声をご紹介します。

2021年3月、日本国内に事務所を持つ国連機関の共催で「SDGグローバル・フェスティバル・オブ・アクション from JAPAN」が開催されました。例年ドイツで開催されていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、「世界を変えよう 人と地球のために」をテーマに初のオンライン開催。「from JAPAN」の文字を加え、日本発のさまざまな企画も盛り込まれました。

ボイス・オブ・ユースJAPAN

ユニセフは「ボイス・オブ・ユース:SDGアクションの今とこれから」を担当。ユニセフ東京事務所と日本ユニセフ協会が運営をサポートする若者たちの声を届けるブログサイト「ボイス・オブ・ユースJAPAN(VoYJ)」の若者たちが企画を練ってくれました。当日は、VoYJの萩野聡子さんと岡俊輔さんによる全編英語の司会・進行のもと、日本に加え、ガーナ、レバノン、ナイジェリア、バングラデシュ、タイ、インドネシアから参加した13人の若きリーダーが、社会活動を始めた動機やコロナ禍で活動を続ける大変さなどを語り合いました。

世界の若者リーダーたち

登壇した若者たちの活動分野はさまざまです。

ガーナから参加したアダムさんは、女性と子どもの権利向上のために詩を通して熱心に活動。コロナ禍で、特に十代の母親たちのメンタルヘルスに着目しています。

レバノンのセアヤさんは、工学部の学生でファッションデザイナー。海外向けファッションブランドを立ち上げ、ジェンダーと雇用の問題に取り組んでいます。友人をがんで亡くした経験から、小児がんセンターを支援する新作を発表しました。

インドネシアのヨガさんは、過去に心の不調に悩んだ経験を活かし、メンタルヘルスに課題を抱える人たちをサポートする若者団体で中心的役割を担っています。

山形県の長澤パティさんは、ネパール人の父と日本人の母をもつという自身の多文化的背景が活動のモチベーションだと言います。高校時代はインドネシアや韓国の若者たちと交流。現在は地元山形の若者たちを活性化する活動や日本ユニセフ協会の学生ボランティア組織「ユニセフ・キャンパス」の運営にも携わっています。

若者たちが見た「コロナ禍」

VoYJの萩野さんと岡さん
©UNICEFTokyo/2021

若者たちは一様に、コロナ禍での社会活動は「手探りだった」と振り返っていました。しかし、「パンデミックの中でも光はあり、オンラインに移行したことでより多くの人のニーズに対応できるようになった」と話していたヨガさんのように、新たな希望を見出した若者も少なくなかったようです。

コロナ禍がきっかけで不登校になった子どもたちを支援する活動を始めた日本の高校1年生のこころさんは「自分も授業がなくなったり、色々なことに直面したりして、こんな状況だからこそ、期待しすぎないようにすることと、明日は良いことがあるかもしれないと思うようにすることで、モチベーションを保っていました」と活動継続の秘訣を語りました。

ルカさん
©UNICEF

石川県から参加したルカさんは、ジェンダーの問題を音楽や映画などを通して伝える団体の代表を務めています。自身の活動について、「日本では、社会課題を語るのはまだ壁が高いと思われています。私たちは、例えばピザを食べながらLGBTQ+に関する映画を見て語り合う、といった気軽なイベントを開催しています。ピザ目的の参加者でも、帰る頃には性自認に関係なく、誰もが自分らしくいられることの大切さに気付き、ポジティブな気持ちになってくれます」と話しました。

SDGs達成にほんとうに必要なもの

セッションの最後の「SDGs達成のために必要だと思うことや、自分の国や町のリーダーに知ってほしいことが何か?」という質問に対しては「社会の意思決定に参加できるよう、若者の声に耳を傾けてほしい」という意見が多くあがりました。

ガーナのアダムさん
©UNICEF

ガーナのアダムさんは、「私たちは世界で何が起こっているか分かっています。リーダーになることもできます。世代間でお互いから学ぶべきです。私の国では、それが欠如していると感じます」と話し、レバノンのアヤさんも「若者たちが能力を発揮できるような場を企業のみなさんにも積極的に作ってほしい」と呼びかけました。

長澤パティさんは、「若い世代は情熱があり、社会に対する関心があります。それぞれが独自のアイデアや行動力を持っています」と語り次のように訴えました。

「若者たちの声を聞いてください。私たちのクリエイティブな活動に注目してください。そして、持続可能な未来のために、私たちの熱意と力を使ってください」