culture
テーマ「子どもの声」
環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの出身国としても知られる、若者の社会参加が活発な国、スウェーデン。若者の投票率が8割を超えるというこの国の若者は、なぜ声をあげることに積極的なのでしょうか─その答えの1つは、小学校社会科の授業で見出せそうです。
本書は、スウェーデンの小学校高学年の子どもたちが実際に使っている社会科教科書の日本語訳と、それに触れた日本の大学生の反応を紹介したものです。まず彼らの目を引いたのは、社会も法律も規則も常に変化するものだと説明されている点。規範は守るべきものですが、同時に変えられるものでもあることを子どもたちに学ばせているのです。また、SNSを正しく活用すれば「権力者に影響を与えられる」と世界を変える手段が身近にあることも伝えています。そして正解のないむずかしい問いを通じて、子どもたちに様々なことを考えさせます。
「社会は変えられる」という思いが明日への希望を呼びさますとすれば、若者の積極的な社会参加は、この国の幸福度の高さに結びついているのかもしれません。
米国で妊娠期を過ごした編集委員のひとりが当時、バスの中で席を譲られたことがきっかけで親しくなった9歳の男の子から勧められた映画です。
本作の主人公トレバーは中学1年生。ある日、社会科の教師から「君たちが世界を変えたいと思ったら、何をするか」と問われます。町中の路上生活者や、情緒不安定な母親を気にかけるトレバーは、どうすれば幸せな人が増えるかを真剣に考え、ある提案を行います。それは、3人に善行を施し、受けた人が「次の」3人に善い行いをすれば社会全体に幸せな人が増える、という構想でした。
さっそくいくつか実践を試みますが、どれも先へつながる気配がうかがえません。挫折感を味わうトレバーでしたが、そのうちの1本が遠い町まで連鎖。その糸を逆につたってトレバーへたどりついた記者の報道で、人から人へ善行がつながっていく「ペイ・フォワード」が一大ムーヴメントとなる、というストーリーです。
出産を経て本作を鑑賞した編集委員は、「9歳の友人はあの日、バスの中でこれを実践していたのか」と悟り、自らも『次の人』への思いを膨らませた一作です。