vol.283 2024 autumn

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特集

すべての子どもの権利のために

日本ユニセフ協会の取り組み

巻頭言

ダンシング・クイーン

1974年から1982年まで世界の音楽チャートを席巻した世界的なポップ・グループABBA。本年4月、ユニセフは楽曲『チキチータ』を通じた寄付が1979年の発売以降、累計で500万米ドル(約7億7500万円)に達したと発表しました。

2018年4月、グスタフ国王とご一緒にユニセフハウス(東京都港区)にお越しになったシルビア王妃
© 日本ユニセフ協会

ABBAの出身国はスウェーデン。同国のシルビア王妃も、長年にわたりユニセフに大きな力を貸してくださっています。「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(1996年)以降、国内外のさまざまな舞台で子どもに対する性暴力の問題への国際社会の取り組みを訴えられているシルビア王妃。当協会が2007年に開催したシンポジウムで、インターネット上の子どもの性的虐待コンテンツ(児童ポルノ)を遮断(ブロック)する施策も紹介してくださいました。「インターネットブロッキング」と呼ばれるこの施策は、2011年に事業者による自主的な取り組みとして日本に導入され、現在は国内のユーザーの約9割がこの施策が実装されたサービスを利用しているとみられています。

世界の子どもたちのため、大きな影響力を発揮してくださっているシルビア王妃ですが、スウェーデンの王族になられる前、逆境のただなかに置かれた時期がありました。異国ドイツの一般家庭に生まれ、スウェーデン語もたどたどしかった彼女。「王妃にはふさわしくない」という批判も巻き起こるなかで迎えた結婚前夜祭のときのこと。伝統的にクラッシック音楽で構成されてきた舞台から、宮廷風の衣装をまとったABBAが「人生を楽しんで! あなたこそクイーンだ!」とシルビア王妃に贈った曲が、『ダンシング・クイーン』でした。

人生を楽しんで!

今年は、日本が「子どもの権利条約」を批准してから30年目の節目の年。私たちも、日本の子どもたち一人ひとりに、これからも、そしてこれまで以上に、エールを送り続けます。

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今、同じ空の下で

パナマ、2023年撮影

編集後記

千思万考

4月、われらが長谷部誠大使から連絡が入りました。

「サッカー選手として現役引退を発表するけれど、ユニセフの活動は続けると言ってもよいですか?」

6月初頭の一時帰国の際も、「ご挨拶に」と所属チームの仕事の合間を縫い、当初予定されていなかったユニセフハウスを訪問。

そんな長谷部さんにあらためて、「『子どもの権利』を語る大使になってください」とお願いしました。

ウクライナ、ガザ、イエメン、ハイチ、ダリエン地峡…。長谷部さんとともに訪ねたバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ。世界には、ユニセフの支援が必要な子どもたちが大勢います。

他方、本号でもご紹介したように、日本の子どもたちに対しても、ユニセフとしてやれること、やらなくてはならないことがあります。

「おとなにも、子どもにも、子どもの権利を伝えられる大使になります!」長谷部大使から、力強い言葉をいただきました。

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