vol.285 2025 spring

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特集

想いの歴史

ユニセフニュースで振り返る70年

巻頭言

ユニセフニュース

第二次世界大戦直後に創設されたユニセフは、当初から「広報活動」を重視してきました。被害を受けた子どもたちの現状を伝えるとともに、支援を通じて広がる希望を共有し、活動資金を募るためです。

(上)日本ユニセフ協会70周年記念ロゴ
(下)ユニセフ初のグリーティングカード。イトカちゃんの絵
©日本ユニセフ協会 / © UNICEF/UNI99430/

創立翌年(1947年)には、支援を受けたチェコスロバキア(当時)の女の子イトカちゃんがガラスのかけらに描いた絵「平和な国の幸せ」をグリーティングカードに仕立てたことをきっかけに、カードの販売を世界展開するようになります。これが、日本でも近年まで多くの方々に親しまれた「ユニセフ・カード&ギフト募金」のはじまりでした。

1954年には国連機関としてはじめて、当時の世界的エンターテイナー、ダニー・ケイさんを親善大使に任命。当時のユニセフ事務局長がたまたま乗り合わせた飛行機でケイさんを口説いたエピソードや、その精神を引き継いだ大使として現在では200を超える個人や団体の方々が無償で活躍されていることは、本誌280号のunicef fileコーナーでもご紹介しました。

そして現在。約190の国や地域に置かれている現地事務所やユニセフ協会のほぼすべてに広報の専門官やチームが置かれ、日々さまざまなニュースを報道機関に提供し、ホームページやSNSを通じて情報を発信しています。

ユニセフハウス(東京都港区)の書庫には、これまでにユニセフ本部が制作・発行した数々の報告書や書籍などの広報物とともに、1957年発行の創刊号以来の「ユニセフニュース」が眠っています。インターネット上に文章や画像、動画をアップできる今とちがい、フィルムやテープの写真や映像と活字が素材のアナログ時代から、本誌は、世界の子どものことを皆さまに伝える広報誌であり続けました。

そんな本誌の歴史を振り返りながら、皆さまとともに歩んだ70年を振り返ります。

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ユニセフニュースで振り返る70年

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今、同じ空の下で

マラウイ、2024年撮影

編集後記

千思万考

インターネット検索では思うような結果が得られず、書庫や図書館に行く余裕もないときなど、生成AIに助けてもらうようになりました。

想像もしていなかった答えを得た記憶はありませんが、「たしかに、そんな見方もあったネ」と気づかされたことは数知れず。

「AI元年」と騒がれた頃、ネットにあふれる誹謗中傷やデマ、フェイク情報が生成AIによって増幅されるのでは? との懸念も広がりましたが、少なくとも今のところ取り越し苦労で終わっているようです。

とはいえ、所詮「ネット上の知見の寄せ集め」だからでしょうか、ときに明確な出典が存在しない情報にもかかわらず、断定的に回答・説明・解説してくることも……。

書庫に眠る本誌ユニセフニュースは、ネットに載っていない歴史の宝庫。

世の中にはそんな「歴史」が数多あることに、あらためて気づかされました。

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© UNICEF/UNI456462/Mulala、©日本ユニセフ協会、© UNICEF/UNI99430/、©日本ユニセフ協会/Hironobu Nozawa、© UNICEF Lesotho/ 2024、佼成出版社、©愛知県ユニセフ協会、© UNICEF/UNI711347/Chikondi