vol.284 2025 winter

すべての子どもに必要だと思うことは、
「目標」です。

勝みなみ (プロフィールはこちら)

プロゴルファー

各界で活躍されている方に「子ども時代」を振り返っていただきながら、世界中のすべての子ども、一人ひとりの子どもたちにとって必 要なことは何かを考えていく連載企画「for every child,_」。第31回は、プロゴルファーの勝みなみさん。子どもの頃からゴルフ一筋で活躍してきた勝さん。近年では、ユニセフのフレンドネーションで寄付を募るなど、ゴルフを通した社会貢献活動やジュニアゴルファーの育成も積極的に行っています。小さな頃からゴルフを通じてたくさんのことを学んできたという勝さんが子どもたちに伝えたいことを伺いました。

初めて祖父に練習場へ連れてってもらった8歳の時、ゴルフの「音」に惹かれました。打球音がクラブによって全く違うことが不思議で魅力を感じました。いいショットの時、自分もあの音を出したいと思ったんです。

本格的にプロになりたいと思い始めたのは小学5年生の頃。大会で上位に入るようになって自信がついたのもありましたが、すごく楽しかったというのが一番。全国大会でいろんな地域の子と話せて、違う価値観を知れて、人間観察も面白くて。ゴルフの魅力はいろんな人と一緒に回れることだと思います。小さい子どもから高齢の方までできて、プレーしながら会話してコミュニケーションも取れるスポーツは他になかなかないですし、違う世代の方でも一緒にラウンドして長い時間いると仲良くなれるんです。実はもともと人見知りでしたが、ラウンドの中でコミュニケーション能力が磨かれて、社会勉強にもなりました。小さい頃からゴルフをしてきたことで普段の生活では学べないこともいろいろ身についたと思います。大変なこともありましたが、成績が悪くてもゴルフを嫌いになることはなく、悪い時も楽しみながらここまで続けてきました。

両親にはあまり怒られたことがなく、特に母は「なんでもできるよ」とすべて肯定して、褒めて育ててくれました。それは自分にいい影響を与えてもらったと感じています。私が「プロゴルファーになる」と言い続けていたので、母も覚悟を決めて私が高校に入る時に仕事をやめてずっとサポートしてくれています。自分が悔しさで、怒ったり泣いたりした時も何も言わずにそばで支えてくれて、ゴルフに集中できる環境をつくってくれた両親には感謝しています。

自分自身はプロになれるとしか思っていなくて、自分より上手な人がいることはわかっていたけれど、夢は人と比べるものではないと、突き進んできました。夢に向かってがんばるためには「目標」が必要です。目標を達成した時の喜びは他に変えられないもの。小さな目標でも少しずつ達成していくことで自信がついて、次のステップに進む意欲にもなります。子どもの頃からそうやって目標設定することを習慣づけていくことが大事だと思います。

私の今の目標は、普段の行動や意識も含めて、プロとして人として愛される選手になることです。いい選手は成績だけではなく、人としても素晴らしくなくては、と思っています。

はじめてゴルフクラブを買ってもらった日。ここからプロゴルファーの道がはじまった、夢いっぱいの写真です (写真:本人提供)

Profile

かつみなみ

8歳からゴルフを始め、2010年「全国小学生ゴルフトーナメント決勝大会」、2012年度・2013年度の「全国中学校ゴルフ選手権春季大会」で優勝、2014年「ニュージーランドアマチュアゴルフ選手権」では、大会最少ストローク記録を更新し、日本人選手初優勝を果たす。同年4月の国内女子ツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」で史上最年少優勝記録を更新(15歳293日)。その後も主要なアマチュアタイトルを獲得し、数多くのトーナメントでも活躍。2017年、高校卒業後、プロテストに一発合格。2023年、米国ツアーに本格参戦。