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テーマ「子どもの権利」
テレビ番組「アイラブみー」(NHK Eテレ)から生まれた絵本です。
主人公の「みー」は好奇心旺盛な5歳の子ども。あるとき、自分は「なんで パンツをはいているんだろう?」という疑問を抱いたみーは、周囲の大人や友だちとのかかわりを通じて、自分のからだや気持ちに対する理解を深め、それらを大切にすることを学んでいきます。たとえば、「ほめられるのは うれしいけど……せなかを バンバン たたかれるのは いやだな」とか、「そうか! それが わかるのは みーだけ なのか!」と。
子どもの権利を守るには、おとなはもちろん、子どもが自身の持つ権利について学び、それを守るために声を上げていくことが重要です。自分にとって何が大切で何がいやなことかを認識することは、その第一歩といえます。
自分に対する理解や受容は、他者に対する理解と共感にもつながります。子どもばかりでなく、「人にやさしく」とだけ教えられて育った大人が忘れがちな、まずは「自分を慈しむ」ことの大切さを、そっと示してくれる1冊です。
静かな教室。北フランスにあるモンテッソーリ学校の幼児クラスを2年3カ月にわたり撮影したカメラが映し出すのは、目の前の、自らが興味をもって選んだ「おしごと」に真剣な表情で没頭する子どもたちの姿です。教員たちは彼らの集中を邪魔しないよう、ささやき声で必要最小限の手助けをします。
マリア・モンテッソーリは20世紀初頭、子どもがもつ権利について実践を通じて世に広めたイタリアの医学博士・教育者です。子どもには生後数年の間に知能の爆発的な成長期が存在し、その時期に適切な環境を準備して主導権を渡せば、子どもたちは驚異的な集中力と吸収力でぐんぐん成長し、自信を積み上げていくことを彼女は発見しました。
適切な環境を整えたあとのおとなの役割は、子どもの行動をじっくりと観察し、彼らを集中状態へ導くこと。便利なモノがあふれる時代を生きる私たちは、こうした子どもの本能的な学びへの意欲を見過ごしていないか、子どもの権利条約にも謳われる「子どもにとって最善のこと」を優先できているかを、静謐の中であらためて考えさせられる作品です。