vol.277 2023 spring

culture

テーマ「未来を考える」

book『14歳からのSDGs―あなたが創る未来の地球』

『14歳からのSDGs
―あなたが創る未来の地球』
水野谷 優 編著
國井 修・井本直歩子・林 佐和美・
加藤正寛・高木 超 著
明石書店

地球温暖化に代表される、地球全体の課題をすべての国の人々が力を合わせて解決しようと作られたSDGs いまやテレビや新聞、インターネットで見ない日はないほど身近な言葉になりました。この目標が国連で採択された8年前からは想像ができなかった状況です。
 
数多のSDGs関連本が書店に並ぶなか、世界の支援現場の最前線に立ってきた4名の元・現役ユニセフ職員の執筆陣による書籍が登場しました。
 
編者でもあるユニセフ本部のデータ部門に勤める水野谷さんを中心に統計をわかりやすく活用しながら、4名の執筆者は、現場での経験を活かし、SDGsを達成するための取り組みを臨場感あふれる解説でまとめています。
 
SDGsの理解に役立つ情報が、映画を含めて豊富に紹介されているのも本書の特徴。2030年に国際社会の主役となる中学・高校生が、世界のいまを知り、自らの未来を考えるためのガイドブックです。


*著者のひとり、井本直歩子さんをゲストにお迎えしたポッドキャスト「ラジオ・ユニセフ」(第13〜16回)はこちらよりお楽しみください。


movie『きっと、うまくいく』

『きっと、うまくいく』
(インド/2009年)
Blu-ray & DVD好評発売中
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケテ
ィング
©Vinod Chopra Films Pvt Ltd 2009, All rights
reserved.

インドの最難関工科大学ICE。若き秀才たちが集い学ぶキャンパスで、鬼学長を相手に破天荒な騒動を繰り広げる自由人のランチョー、動物と写真を愛するファルハーン、何事も神にすがる苦学生ラージューの「三バカトリオ」。危機に直面したとき、彼らが唱えるまじないは「すべてうまくいく」。 笑いあり感動あの学園コメディが展開する裏で、卒業後に行方不明となったランチョーを探しに行くという「10 年後」のミステリーが進行していきます。
 
コメディタッチで描かれますが、物語の根底に貫かれているのは「学びとは」「真に自分らしく生きるとは」という万国普遍のテーマ。カースト制への反動で過熱した学歴偏重主義により、エリート学生の自殺者増加が問題となっていたインド。そこへ一石ならぬ数石を投じる仕掛けが、随所にちりばめられます。
 
当協会の展示スペース(ユニセフハウス)内の動画で、「これで彼女はなりたい自分になれる。そう考えるとうれしくて仕方ない」と語る、重度の栄養不良から回復した女の子のお父さん——そんなお父さんが見たら号泣してしまいそうな究極の「子の姿」が、極上の爽快さとともにラストを飾ります。